さか屋を支えてくれる【職人の手仕事】
さか屋の広縁にある椅子とテーブル。そのほとんどは40年以上前に購入した籐製のまろやかな懐かしい雰囲気のもの。現在の籐製品は主に外国製ですが、当時購入した当館の籐椅子などはもちろん国産品です。籐製品の良さは軽さと丈夫さ、そして少しほどけても職人にまかせれば修理が可能というところですね。
実は当館の昔からのおなじみ様に静岡の籐職人さんがいます。ご存知の通り「静岡」はお藩替えで江戸から侍達がやってきて、平和な世の中に仕事がなく職人仕事に転じて糊口を凌いだため、「静岡市」多くの職人の町だったのです。
こちらの「森乳母車店」さん。母娘の籐職人さんで現在は「籐の店MORI」をされています。私が生まれる前からのお客様ですが、当館の籐椅子たちもこの職人さんの手で修理再生してもらいました。それはもう見事なものです。この写真は4・5年前おふたりでさか屋に泊り込みで修理に来て頂いたときのもの。おふたりで何十個と椅子のほつれを直し、やすりをかけて、ニスぬりと、結構手間のかかる大変なお仕事でした。
ちなみにおじいさんに当たる方は、自転車の前に子どもを乗せるカゴを考えて特許を持っていた位の知恵者です。
娘さんは結婚されてお子様に手がかかるため一時休業しておられ、吉奈温泉をこよなく愛してくださったお母さまは先日持病の為逝去されました。病気がわかってからも「子供の頃から遊んでいた吉奈で過ごしたい」と度々お一人で、又は娘さんご夫婦とお越し頂きました。まだまだお元気だと思っていましたのに、大変残念です。陽気で明るい方でした。
娘さんと私は年も近く、しかも同じ名前なので昔からよく遊びました。これからも従姉妹ぐらいのつもりで仲良くして頂けたらと思っております。腕の良い職人でもある彼女には、ぜひお仕事にも復帰して頂き、さか屋の籐製品は面倒見てもらおうと思っています。
皆さまもぜひさか屋の籐椅子に腰掛ける時は、このまろやかな座り心地、軽さ、弾力を感じつつ、こういう職人さんの手仕事があるのだと思い出して頂けるとうれしいです。