私の祖父は「外国の香り」が大好きでした。
生まれたばかりの私に「エンサイクロペディア」（もちろん英語版）を注文したり（注文しただけで支払いは母）。幼い私には両親のことをダディ・マミィと呼べと指示。そういえばそう呼んでいた微かな記憶があります。
岡本太郎さんの旅に刺激を受け、70歳を過ぎてたった一人で海外旅行に出かける。もちろん英語もしゃべれません。従業員におみやげだとわけわからん民芸品を100こ買ってきた。

昔離れを新しく作る時、ちょっと洋式にしたかったのでしょうね。海外旅行で見てきた「バスルーム」バスタブとトイレが一緒の空間にあるやつ、あれをタイル貼りの風呂と洋式トイレで作っちゃった。ものすごく使いにくい・・・

それはまぁ、外国へのあこがれが強かったみたいです。
今回見つけたのは、当館の特製ステイショナリィー。便箋ですね。

私の記憶では、御宿さか屋は以前の名称が「さかや旅館」だったと思います。その後「ホテルさか屋」になり「御宿さか屋」に変わりました。この便箋からは「さかや旅館」から「ホテルさか屋」への変化の片鱗が見えます。

なんとまぁかわいらしい洋式の香り漂うデザイン。でもとっても和風。縦書き。効能まで付けちゃって。これいいアイディアですね。

ブルーの色合いもいい、すてきなレトロ便箋。というより「本物のレトロデザイン」。書きかけの便箋しかなかったのですが、内容は温泉組合長をしていた祖父が何らかの申請書類の下書きかと。

秀逸なデザインは次の機会に復活させたいなぁ。
以前から考えてはいたけど最近特に思うのは「先人の軌跡」についてです。これは無駄だったねとか、何かしらの意味があるのだろうとか思いながら、その裏にある努力やアイディア振り返ると得るものも多くあり。「古い」と一括に捨てることも出来るけど、そんな混沌としたものを抱えながら、現代的ではない非合理さが大好きな自分もいます。

いろんなお宿がある中、そんな宿が一軒ぐらいあってもいいかしらん。長く宿をやってきた面白さを大事にしたいなと思う今日このごろでした。

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伊豆天城　吉奈温泉
源泉かけ流しの湯　御宿さか屋 0558-85-1100
https://www.yoshina-sakaya.co.jp