西伊豆の旅~土肥温泉・象牙美術宝庫
西伊豆の土肥にある「象牙美術宝庫」。ここはうちの女将のおすすめ観光スポット。なんせもう入手出来ない象牙の美術品がわんさか、しかも国宝級。
とにかく絶句です…
この象牙玉は球体を奥に掘り進み層に切断していくので、中でくるくる回ります。その繊細さは網のような透かし彫りを見て下さい。前列は作られる過程を現したもの。中段は電動やすりを使った機械彫りの細工で、50層だとか。一番奥にある象牙玉は手彫りの20層のものです。↓これで中身はぐるぐる回るんです!
故宮博物館にある象牙玉が手彫りの世界最高で22層のものですから、これがどれだけスゴイものかは推して知るべしです。
牡丹や水仙の薄ーい花びらまで。後ろが透けて見えそう。
もちろん鎖も刳り抜き、はすの産毛まで表現されてます。「象牙の肌」といいますが、その白さ、美しさは宝石にも勝ります。すっかり魅了されてしまいました。
西伊豆の特産品「桜葉漬け」で財を成した館主さんは、中国にその技術を教えに度々行っていたのです。これらの貴重な象牙細工をワシントン条約締結前に日本に持ち帰り、コレクションは300点を越えたので、地元観光に役立てたいとこの美術宝庫を開館したとか。
象牙の他に輝石・宝石で作られた細工物。これはおめでたい桃の木。多産を表し子孫繁栄を願って作られる縁起物。カワイイ。
微妙な天然石の色合いをそのまま生かして作られています。
面白かったのはコレ ↑ 「満漢全席」の食材を全て輝石・宝石の色を使って表しています。ピーナツからタコ、魚、野菜まで全部石!
象牙ってまともに買うとこの値段です。桁を間違えますね。しかもこれ割と小さいんです。
「可愛くて欲しいな~♪」なんて気軽にいえないお値段。可愛くない。
今の時代「象牙」という素材に微妙な考えも抱きつつ見に行ったのですが、芸術品としての価値は素晴らしく高い為、一瞬全てを忘れて心奪われました。やり直し出来ない素材なだけに、作り手はそれこそ命を掛けて作ったんだという気迫にも圧倒される。さらに学芸員の方がきっちり説明して下さるので、わかりやすい。「コレは象牙を30本使っています」と説明されることで時々「そうか、これは象牙なんだ」と思い起こされますが。
多分これらの芸術品は中国にとって本当は「国の宝」だったのでしょうが、時勢が悪く財産を持っていると罰せられる時代があったので、大量に放出されてしまったのでは。日本の浮世絵みたいに海外でしか見られないとは、残念ですね。
とにかくお金では換算できない(総額数十億円と書かれていますが)価値の高い美術品が、わんさかあります。チラ見でも充分伝わりますが、時間をかけて回りたいものです。
象牙美術宝庫
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